身体測定3
「ほら、立って。ぐずぐずしない」
藤沢先生に言われ、南さんがしぶしぶという感じで立ち上がった。藤沢先生は笑みを浮かべていたけど、微笑んでいるという感じじゃなかった。ついさっきどよめきに包まれていた保健室も、今はシンと静まり返っている。これから目の前でアイドル級の女の子のストリップが拝めるんだから、それも当然だった。
白いパンティに覆われた南さんのお尻が見える。模様も飾りも何もないそれは少し質素な感じがして、南さんには相応しくない気がした。視線の先に見えていた藤沢先生の表情が、一瞬硬くなった。
「何言ってるの。恥ずかしいのはあなただけじゃないでしょう」
南さんが何か言ったのだろうか。少し口調が厳しい気がする。
「男子はみんな裸なのにあなただけ下着を着けるなんて不公平でしょう」
もっともな気がする意見だけど、異性の裸に対する捉え方を考慮すると、すこし違う気もする。けれど、そんなことはどうでも良かった。僕ら男子にとっては、南さんが裸になった方がいいに決まってる。僕は、心の中で藤沢先生を応援した。
予想通り南さんはなかなか動き出さなかった。そりゃあ同い年の男子の前で下着を脱ぐなんて、そう簡単にできることじゃない。他にも女子がいれば少しは違うのかもしれないけど、ここには19人の男子と1人の女子しか居ない。しかも、男子は僕が最後だから、測定を終えた19人全員の注目が南さんに集まっている。
「もう、世話が焼けるわね」
藤沢先生は不機嫌な口調でそう言うと、南さんの肩を持って男子の方を向かせた。艶のある黒髪がパサリと音を立てる。両手を股間の前で重ねて、二の腕で胸を隠そうと懸命になる南さんの姿がそこにはあった。
「ほら」
藤沢先生の声がした直後、ブラジャーの肩紐が浮いた。ホックを外したのだ。南さんは俯いたまま動かない。いや動けないのかもしれない。
「自分で脱ぎなさい」
肩紐を二の腕のところまでずらしたところで、藤沢先生は南さんを突き放した。
「スポーツテストが遅れたら、あなたのせいでみんなの体育の成績が落ちるのよ」
さすがにこの言葉は効いたみたいだった。自分1人ならまだしも、他の生徒に迷惑を掛けるとなったら、真面目な南さんは要求に応じるしかない。かくして、38の飢えた瞳が見つめる中、クラスで唯一の女子である南さんのストリップショーが始まった。
真っ直ぐに伸ばしていた両腕をおずおずと曲げ、胸の前に持ってくる。俯いた顔は、既に真っ赤に染まっている。ちょっと間があった後、左手を胸に添えたまま、右手を抜いた。そして同じように今度は右手を胸に添えて左手を抜く。肩紐が完全に抜けた。このまま手を離せば、ブラジャーは床に落ちてしまうだろう。
ゴクリと唾を飲み込む。誰かの咳払いが聞こえた。
南さんは、右手をブラジャーに添えたまま、左手でずらすようにして脱いだ。ブラジャーがずれると同時に左手が胸を隠す。懸命に胸を隠そうとしているのが見て取れる。けれど、彼女の細い腕では全てを隠すことはできない。乳首は見えていなかったけど、押さえつけられて少し歪んだ胸の谷間と下乳の丸い輪郭が、より一層のいやらしさを醸し出していた。
問題はここからだ。左手で胸を隠したままパンティを脱ぐことなんてできるんだろうか。右手をパンティに添えたけど、そこから動かない。少し間があってから、かろうじて親指を中に入れ、ゴムに手を掛けた。そのまま腕を伸ばすと、ゴムの位置が少し下にずれた。
少し違う位置に指を掛け、同じようにゴムの位置を下げる。それを何度か繰り返して、南さんのパンティは全体的に数センチ下がった。腰骨から股間へと切れ込むラインが少し見えている。けれど、片手ではそこまでが限界だった。
南さんの肩がゆっくりと動いた。深呼吸をしているんだと僕は思った。数回その動きを繰り返した後、一旦動きが止まる。そして、意を決したように胸を隠していた手をパンティに掛けると、一気に降ろした。
僕は、一瞬たりとも見逃すまいと、南さんの股間を凝視した。恐らく、他の男子も同じはずだ。けれど、屈むように上体を折っているため、暗くて見えない。その代わり、ぷるぷると揺れるおっぱいが見えた。と、右足をパンティから抜こうとした南さんがバランスを崩した。
「きゃっ」
短い悲鳴とともに、倒れそうになったところを藤沢先生が支えた。
「何やってるの。ちゃんとしなさい」
「す、すみません」
男子の視線が集中する中、落ち着いて下着を脱げというのは無理な話だ。
「やッ!?」
おっぱいを丸出しにして、右足を上げるという体勢を取っていることに気付いた南さんは、咄嗟にその場にしゃがみ込んでしまった。脚をぴったりと閉じて、前からは何も見えない。唯一、紐のように丸まったパンティが、ちょうどふくらはぎくらいの位置にあるのが見えた。
「早く脱いで」
口調は優しかったが、この状況で追い討ちを掛ける藤沢先生は、やはり優しいとは言えない。南さんは、しゃがんだまま器用に足首からパンティを抜いた。
「はい、ここに立つ」
間髪を入れずに藤沢先生が言う。南さんは、少し慌てるようにして身長計に乗った。立ち上がる時は、しっかり胸と股間を隠していた。
「持ってちゃ脱いだ意味がないでしょう」
そう言って、藤沢先生は半ば奪い取るように南さんから下着を受け取った。身を隠すものが何も無くなった南さんは、右手で胸を、左手で股間を隠して身長計に乗っている。
すぐに測定を始めるかと思ったら、藤沢先生はその場を離れた。南さんのお尻の丸みを横方向からチェックしていた僕は、藤沢先生の声で視線を移した。
「こうしておけば型崩れの心配はないわ」
深緑の黒板に、真っ白なブラジャーとパンティが、その形を見せつけるように固定されていた。
「せ、先生」
たまらず南さんが声をあげた。深緑の黒板に純白の下着が映える。真っ白だと思っていたパンティには、ワンポイントとして可愛いピンクのリボンが刺繍されていた。ブラジャーもパンティも磁石は見えないように内側に入れられ、まるで飾り付けられているかのようだった。藤沢先生は南さんには答えず、そのまま何事も無かったかのように身長計を操作する。
南さんが何か言いたそうにしきりに先生の方を窺っているけど、藤沢先生は機械的に測定を進めてゆく。ウィーンという例の音がして、バーが降りた。コンと頭に当たって、再び戻る。
「あら、だめね」
測定終了かと思ったら、藤沢先生が言った。
「手は横。きをつけ、背筋を伸ばしなさい」
下着を奪われ、露になった膨らみを隠すことも許されない。綺麗な御椀型のふくらみの頂点が少し尖っている。前列の男子からは、恐らく割れ目も見えているんじゃないだろうか。目を凝らすと、ぷっくりとした恥丘に少しだけ繊毛が見えた。
「155センチ、43キロ・・・と」
南さんの体重が、男子全員に公表された。それくらい大きな声だった。