脱衣

「何?どうしたの?」

工藤がカメラマンに尋ねる。

「いや、アンダーの隙間から毛が出てるんですよ。これじゃ使えませんよ」

「・・・あぁ?」

工藤が露骨に苛立ちを滲ませる。

「す、すみません」

自身のヘアについて指摘された恥ずかしさよりも、スタッフにさらに迷惑を掛けてしまったことに由香里は縮こまった。胸を隠しながら懸命にお辞儀をする。

工藤はスタスタと由香里に近づくと、すぐ傍にしゃがみ込んで由香里の股間とお尻をまじまじと眺め始めた。ヘアの状態を確認されているのだとわかり、由香里は動くことができない。股間を守るものはスケスケのメッシュ生地1枚、お尻に至っては1本の紐という状態で、眼鏡越しにじっくりと確認される。

「ふん・・・」

呟きのような鼻息のような声を漏らし、工藤は眼鏡を外した。そして外した眼鏡を手に持って、耳に掛かっている部分についているプラスチックのカバ───先セルと呼ばれる───で由香里のVラインをソロリとなぞった。

「ひっ・・・」

由香里は思わず引きつったような声を上げた。工藤はちらりと由香里の顔を見上げたが、特に気にするふうでもなく、反対側のVラインもなぞってゆく。まるで虫が這うかのようなその感触に、由香里の脚が少し震えていた。

暫くして工藤はお尻の方に移動すると、由香里に少しお尻を突き出すように言う。由香里は衆人環視の中で恥ずかしい部分をまじまじと眺められ、どうしようもない羞恥を感じながらも、これ以上迷惑は掛けられないという一心で工藤のされるがままになっていた。

(へぇ・・・こりゃキレイだな)

突き出されたことで少し開いた割れ目の間に、慎ましく窄まった蕾が見える。キレイなピンク色をしたその周りには毛も生えておらず、形の歪みも全く無かった。

工藤は先セルを口に含んで舐めると、紐に隠れるようにしているその慎ましやかな蕾を中心に、谷底を上下になぞった。

「・・・ッ!」

由香里が声にならない声を漏らす。何とか周りの男達に悟られまいとしたようだったが、蕾はヒクリと窄まり、敏感な反応を示した。工藤はそのまま弄り回してやろうかと思ったが、眼鏡を掛けなおして由香里に言った。

「これじゃ使えないよ。剃らなきゃだめだね」

「す・・・すみません」

由香里は何と言えばいいのかわからず、ただ謝るのが精一杯だった。

「お尻、結構奥の方にもあるんだけど、自分でできる?」

一瞬言葉に詰まる。由香里は奥の方と言われて、さすがに自分では無理だと思った。自分では無理、イコール誰かに剃られるということだ。だがここで「できる」と言ってもしできなかったら・・・他人にそんなところを剃られるのは死ぬほど恥ずかしいが「できる」とは言えなかった。

「す、すみません、ちょっとそこまでは・・・」

由香里の返事を聞いて工藤がニヤリとする。もちろん、最初から出来ないとわかっていて指摘したのだ。当然そこには毛など生えていなかった。

「ふう・・・仕方ないね。おい、クリームと安全カミソリ用意して!」

工藤の声で男達が動き出す。由香里が何か言う間も無く、あっという間にステージ上にマットと椅子が準備される。さらに小さな机が準備され、その上に安全カミソリとお湯で泡立てるタイプのクリームが置かれた。河合が小さなカップに粉とお湯を入れ、お茶を立てるようにシャカシャカと音を立ててかき混ぜ、十分に泡立ったところで工藤に渡した。

「サポーターを脱いで、そこの椅子に片脚を乗せて」

(そんな・・・ここで脱ぐなんて・・・)

工藤は、由香里がスポットライトに照らされた状態で男達の視線に曝されていることなど全く気にしていないようだった。そんな工藤の言い方に、由香里は悪意すら感じてしまう。

「・・・高嶋さん」

工藤が再び苛立ったような声色で言った。由香里はビクリとした。恥ずかしくて周りを見ることはできないが、少なくとも6人の男達が今自分を注視しているはずだ。そんな中で───たとえその役目をほとんど果たしていないとはいえ───サポーターを脱ぐなど到底できなかった。だが、もはや逃げ場は無い。

由香里は観念すると、胸を隠していた手を片方外し、サポーターに手を掛けた。胸を隠しながらもう一方の手で少しずつサポーターを下ろしてゆく。右側の腰紐を下ろし、今度は手を入替えて左側を下ろす。だが、女性特有の丸い腰周りがサポーターの脱落を阻み、なかなか思うように脱げない。右を下ろせば左が上がり、左を下ろせば右が上がるという動きを繰り返した。由香里は知らなかったが、渡されたサポーターのサイズが本来のサイズより小さいことも少なからず影響していた。

「さっさとやってくれる?」

「す、すみません」

工藤の声がいよいよ攻撃的になり、由香里は遂に両手をサポーターに掛けざるを得なくなった。乳房を下から支えるだけのブラが、隠す事無く由香里の胸を露にする。胸を隠したくなる衝動をぐっと押さえてサポーターを下ろしにかかる。ゆっくりとではあったが、確実にサポーターはその位置を移動させていく。そして遂に丸いお尻の最も太い部分を抜け、一気にスルリと下りた。

由香里の真っ白なお尻が、遂に完全な形で男達の目の前に現われた。工藤と河合が顔を見合わせる。しっとりとしたキメ細やかな肌は白く、そのボリュームは細い身体と程好いバランスを保っている。ぴったりと閉じ合わされながらも少し空間のあいた内股に、尾骨から真っ直ぐに伸びた割れ目のラインが吸い込まれるように消えている。スポットライトによって光と影がくっきりと描き分けられ、由香里のキメ細かな肌の美しさと、閉じ合わされて陰になった部分のいやらしさをより際立たせていた。

幾つものライトの光が由香里を照らし、ステージに反射している。その光は由香里の目にも入っていたが、それが何なのか認識はできてはいなかった。ライトに明々と照らし出されたステージの上で身に付けている衣服を全て脱がなければならず、さらにその一部始終を男達に見られるという辛さ恥ずかしさで、由香里の頭の中は真っ白になりかけていた。

誰かが唾を飲む音が聞こえた気がして、由香里は我に返った。夏の授業中に居眠りから醒めた時のように身体が熱く感じる。全身にじっとりと汗をかいているような気がした。膝の間にピンと張り詰めたサポーター。そこに両手を掛けた状態で固まっている自分が居た。

(脱がなきゃ・・・)

そう思って上体をさらに折り、片足を上げる。上体を折ったことで、後ろから股の間を覗いていた工藤の目にちらりと黒いものが映った。思わず口元が緩む。

「そこに足のせて」

由香里がサポーターを脱ぎ終わったのを確認するやいなや、工藤が言う。由香里は胸と股間を手で隠して、椅子の上におずおずと足をのせた。本来ならばせめてついたての向こうでするべきだが、工藤や他の男達がそんなことを言うはずも無く、由香里は何も言えずに黙って言うことを聞くしかなかった。

「ちょっとやりにくいな・・・やっぱりこの机に足のせてくれる?」

工藤に言われて由香里は傍にある机を見た。椅子の倍ほどの高さがある。ここに足をのせれば両足が90度程度まで開き、下から覗く工藤の目には全てが露になってしまうだろう。それがわかっていても由香里に選択の余地は無い。言われたとおりに足をのせるしかないのだ。

両手で胸と股間を隠している不安定な体勢で机の上に膝から下を横にするようにしてのせる。床に立っている脚と机にのせた脚がほぼ90度に開き、内股の肉が引っ張られる。せめて周りに立っている他のスタッフには見られまいと、由香里はしっかりと両手で胸と股間を隠した。

「誰かライトもうひとつ持ってきて下から照らして!それから、揺れると危ないから・・・・・・ああ、あれ、あそこにある衣装掛け持ってきて」

天井にあるライトより一回り小さなライトが点され、真下から由香里の股間が照らしだされた。由香里は股間にライトの熱を感じ、思わず下を見る。股間に添えた右手の向こうから光が漏れているのが目に入り、そこが強烈なライトの光で照らされていることがわかって顔が真っ赤になった。

時を同じくしてキャスター付きの衣装掛けが由香里の目の前に運ばれてきた。ハンガーを掛ける金属の棒を骨組みで支えるタイプのもので、キャスター付きの台の上に公園にある鉄棒が固定されたような形をしている。

「動くと危ないから、それにつかまって。あと誰か2人、キャスターが動かないように下で支えて。俺がこっちを剃るから河合は前、残り2人はこっちを手伝って。ほら、始めるよ、早くつかまって!」

工藤が次々と指示を与える。由香里は胸と股間を隠していた両手を目の前の鉄棒に預けることを余儀なくされ、恥ずかしい部分を隠す手段を失った身体を上下からライトで照らし出される。手入れの行き届いた20歳の若さがはちきれそうな身体を、余すところなくライトの光の下に曝す羽目になった。

後ろでは工藤を含む3人の男が大きく開かれた割れ目を凝視している。さらに前では2人の男が、キャスターが動かないように支えるという口実で股間の間近に顔を近付けている。間も無く河合が、クリームと刷毛を持って大きく開かれた股間の前に座った。

「よーし、始めようか」

工藤の声に由香里はぎゅっと目を閉じた。