スポーツブラ
由香里はセットされた髪を乱さないように気を付けながらシャツを脱ぐと、薄いイエローのブラに手を掛ける。スポーツブラを持った左手でカップの部分を押さえ、右手を後ろに回してホック外す。肩紐が無いタイプのブラだったので、それで簡単に外れた。白く艶のある柔らかなふくらみと、その頂点にある桜色の突起が露になる。
由香里はブラが下に隠れるようにしてシャツをついたてに掛けると、スポーツブラを広げてみた。一般的にスポーツブラというと肩から胸にかけてすっぽりと覆うタイプの物が多いが、このブラは普通の物に近く、肩紐にあたる部分も細く、カップの部分もやや小さい気がした。
(とにかく早く着けなきゃ)
ニップレスを着けないのも気になったが、とりあえず由香里はブラを着けてみる。見た目は普通のブラに近いが、素材は薄く柔らかかった。運動の妨げにならないように考えられているのだろう。カップ部分は思ったとおり小さく、下乳が少し見えた状態でやっと乳首がギリギリ隠れる程しかなかった。
(これじゃ、気をつけないと見えちゃう・・・)
由香里は着替え終わると、上は白のブラジャー、下はジーンズという格好で出てきた。撮影用に準備されたベージュのシートを背にして立つ。由香里のスラリとした肢体がスポットライトに照らされる。ブラは胸を3分の1程覆っていたが、下乳が見えていることで、より露出度が高く感じられた。
「よーし、じゃあ始めようか」
工藤の声で撮影が開始された。スポットライトが当たり、じりじりとした熱が感じられる。「腕を組んで」、「胸を張って」などと言いながら、カメラマンがどんどん写真を撮ってゆく。テンポよく撮影が進み始めたところで、工藤が大きな声で言った。
「はい、じゃあ次は着け方変えてみて。胸を下から支えるようにして。乳首は出てもいいから」
由香里は一瞬言葉を失った。工藤は「乳首が出てもいい」と言った。つまり、今でさえギリギリ乳首を隠す程度しかないブラのカップ部分を、さらに下げろというのだ。
「そ、それって、いいんですか・・・?」
由香里は工藤の一般常識に訴えてみる。今回の撮影は通販用のカタログ写真のはずである。そんなものに乳首を出した写真が載るのはまずいのではないかと言っているのだ。だが、工藤は全く意に介さない。
「大丈夫。載せる時は消しを入れるから」
乳首を出した状態で写真を撮ることに、何ら問題はないと言うかのようだ。由香里への配慮は微塵も感じられなかった。由香里は少しずつカップの部分を下げ始める。言っても無駄だと思ったのだ。片方を少し下げて、もう一方を少し下げる。それを繰り返して、ギリギリ乳首が見えないところまで下げた。とはいえ、白いカップの上端から覗くピンク色の乳輪までは完全に隠すことは出来なかった。ニップレスを着けていないせいで、少し見えている乳輪の下の生地がツンと突き出している。由香里は何とかそれも隠そうとしたが、どうすることも出来なかった。
「はい、いいよ~撮って!」
工藤が勢いよく声を発すると同時に、カメラマンがシャッターを切る。「胸を張って」と言われ、由香里は胸を張ったままの姿勢で静止する。
(あぁ・・・これ以上やったら、乳首が飛び出ちゃう)
乳輪が見えているのはわかっていたが、胸を張るとカップの端から乳首が飛び出そうになり、自然と意識がそこに集中してしまう。カメラマンはそんな由香里に構う事無く、胸を接写した。恥ずかしさとスポットライトの熱で、そこにじんわりと汗が浮かんだ。
「ちょっと、誰か汗拭いてあげて!」
カメラマンの声に新人らしき若い男がタオルを持って由香里の傍に来た。よく見るとエントランスで由香里に声を掛けてきた男だった。
「ちょっと汗で光っちゃってるからさぁ、拭いてあげてくれる?谷間とカップの縁の所に溜まってると思うから、特にちゃんと拭いてあげて」
「はい」
男は返事をすると、由香里の胸に手を伸ばす。最初は撫でるような感じで鎖骨付近からなだらかな斜面部分を拭いていたが、カメラマンに急かされて谷間に手を突っ込んできた。由香里はどきりとしたが、胸を張った姿勢のまま動かない。胸の谷間を拭き終わったタオルが、今度はカップの縁をなぞるように動く。そのうちカップの縁をくいっと引っ張られて、間に指を入れて拭かれた。由香里は少し見えているピンク色の乳輪だけでなく、やっとの思いでブラに隠れていた突起をも撫で上げられることになった。
「じゃあ今度は完全にカップを下にずらして」
ひとしきり写真を撮られた後に工藤が言った。由香里は目を丸くして驚きの表情を浮かべた。視線の先には工藤を捉えている。
「大丈夫、載せる時は消すって言ったでしょ。河合、直してやって」
工藤の声に、先程メイクをしてくれた男が近づいてくる。由香里は思わず胸を両手で覆うようにして後ずさりした。河合は構わずに由香里の腕を開かせると、一気にブラを下ろそうとした。
「きゃぁッ!」
由香里は胸を露にされそうになって悲鳴をあげ、その場に座り込みそうになった。だが、すぐに河合に肩を掴まれ、「ほら」と言われて立たされる。
「いやだったら自分でやって」
河合は突き放すように言った。メイクの時とはまるで別人だった。
(自分でって・・・)
だが、男に無理矢理ブラを下ろされるのはもっと嫌だった。由香里は自分の胸を見下ろした。既に両方の乳輪は上の方が見えている。その下にできたポッチが乳首の存在を主張しているが、ここからさらにブラを下ろせば、ポッチどころか桜色の突起の全貌が明らかになってしまう。
「ほら、早くして」
再び両手を脇にどけられ、ブラを下ろされそうになる。由香里は河合の手を逃げるようにかわすと、キッと睨むような顔をして言った。
「自分で・・・やります」
由香里は左手で胸を覆うようにして、右手で少しずつカップの部分を下げてゆく。ここまで来てしまった以上、ブラを下ろすしかない。
(ち、乳首が見えちゃう・・・いやぁ・・・)
由香里は頬を紅潮させ、下乳を支える形にブラを直すと、左手で胸を隠すようにして立った。スポットライトの下にほぼ上半身裸という姿で立つ由香里に、男達の好奇の視線が注がれる。男達が工藤の一声を期待しているのが由香里にひしひしと伝わってくる。そして、すぐに工藤から声が飛んだ。
「隠してたら撮れないだろ!」
左手を下ろさざるを得なかった。由香里の胸のふくらみはほぼ全てが露になり、その頂点に位置する桜色の蕾も含めてスポットライトの下に晒された。そして再び撮影開始の声が掛けられる。
「ほら、隠しちゃだめだよ!激しい動きでズレても支えられるっていうのがこの商品の売りのひとつなんだから!」
由香里はついつい胸を隠そうとしてしまうが、その度に工藤から叱責する声が飛ぶ。ほどよいふくらみを持った由香里の胸は、下から支えられることで、その形を男達に見せつけるかのように上向きになった。その頂点にあるピンク色の突起は、恥ずかしさのためか外気による刺激のためか、ツンと怒ったように立ち上がっている。そしてカメラは容赦なく由香里を撮り、胸を接写した。由香里は胸を隠すこともできず、その豊かなふくらみの形を、色を、きめ細やかな肌の質感を、余す事無く男達に披露しなければならなかった。
「また汗、拭いてあげて!」
カメラマンの声に再び新人の男がやって来た。今度は完全に露になった胸を遠慮なく揉みしだくようにして拭かれ、乳房を鷲掴みするように引っ張られ、谷間を拭かれた。由香里は真っ赤な顔で非難の視線を男に向けるが、男は気にする様子も無く、乳首をクリクリと転がすように拭いた。
「表情固いよ。もっと自然にして」
カメラマンの声に由香里は無理に笑顔を作ったが、その笑顔は今にも泣き出しそうだった。