診察2

「それじゃあ、少しいきんで」

父はそう言って指を離した。

「いきむ・・・?」

小さな声でそう言って、恵梨奈ちゃんが振り返った。その顔は真っ赤に上気していて、熱でもあるんじゃないかと心配してしまいそうだった。

「ウンチをする時みたいに、お尻の穴に力を入れて。お尻の穴を開く感じで」

「は・・・はい」

一瞬恵梨奈ちゃんの動きが止まる。ウンチをする時という言葉を聞いて、真っ赤な顔がさらに赤くなった気がした。恵梨奈ちゃんは、観念して元の姿勢に戻る。肩がふっと動いてお腹に力が入った。お尻の穴がヒクヒクと数回動いた後、中から盛り上がるようにして少し開いた。父の言葉が脳裏をよぎる。

(ウンチをする時と同じ・・・恵梨奈ちゃんは、あんな風に・・・)

恵梨奈ちゃんがウンチをする時、あんな風に力を入れて、あんな風にお尻の穴がヒクつくんだと考えたら、僕は何だか見てはいけないものを見てしまったような気がして、身体中に鳥肌が立つのを感じた。

「はい、今度は逆」

逆という言葉の意味を図りかねたのか、恵梨奈ちゃんが一瞬頭を上げた。でも、すぐに理解したのか、僅かにお尻を引くように動いた。さっき大きく広がったお尻の穴が、きゅっと窄まった。

「ウンチをする時に痛いとかはない?」

「はい・・・大丈夫です」

「ふむ・・・はい、今からウンチをするつもりで、もう一回。はい、うーーーん」

一瞬、目を閉じて頷くような動きを見せた後、恵梨奈ちゃんがお腹に力を込める。放射状に伸びた皺の中心から、盛り上がるようにして小穴が広がる───その時、摩擦音と破裂音の中間のような音が診察室に響いた。

「あッ!?」

思わず漏れた声と同時に、恵梨奈ちゃんの身体がビクッと動いた。

「す、すみません」

「いいえ、気にしなくて大丈夫ですからね」

普通に考えれば当たり前の事なのに、僕はその時、こんなかわいい子でもおならをするんだということに妙な感慨を憶えていた。

「はい、いきんで・・・逆・・・はい、繰り返して」

恵梨奈ちゃんの小穴は、まるでそこが別の生き物であるかのように広がり、そして窄まった。その動きに合わせるかのように微かな開閉を繰り返す彼女のアソコに気づいた時、彼女に指示を出すことができない歯がゆさに、僕は身悶えしそうになった。そして、女の子のアソコとお尻の穴が、予想外に近くにあったことに驚いた。

「少し指を入れますからね・・・はい、息を吸って」

恵梨奈ちゃんの上体が少し上がって、大きく息を吸い込んだのがわかった。僕は、父の言葉を頭の中で数回繰り返した。「指を入れる」と父は言った。この状況で指を入れるということは、入れる場所は1つしかない。僕は、父の指で覆い隠されている谷底の皺の中心を凝視した。

「はい、ゆっくり吐いて」

彼女の身体が少し動いたところで、肩幅に開いた脚がビクッとした。伸ばした父の指が少しだけ、けれども力強く前に進む。上体が伸び上がるように動いた。

「力を抜いて」

恵梨奈ちゃんは、上半身を折った少し苦しそうな体勢で、自らの手でお尻の割れ目を開いている。その手指には明らかに力が入っていて、彼女のお尻に幾筋もの溝を作っていた。

「腫れてはいないみたいだから大丈夫とは思うけど、一応診てみますね。・・・痛かったら言ってください」

診察室に沈黙が訪れる。彼女は、診察の内容をどこまで予想していただろうか。まさかアソコどころかお尻の穴まで曝け出し、指まで入れられることになるとは思っていなかったに違いない。

「はい、力を抜いて・・・楽にしてください」

そう言ってから、父は恵梨奈ちゃんのお尻の穴に挿し込んだ指をグリッと回した。

「うッ・・・!」

必死に我慢していた恵梨奈ちゃんだったけど、お尻の穴を乱暴に掻き回されて思わず声が出た。

「痛いですか?」

「いいえ・・・」

父が再び指をグイッと動かした。

「くぅッ」

「大丈夫ですか?痛かったら痛いと言ってください」

「だ、大丈夫です」

そう言った恵梨奈ちゃんが、ぐらりと前のめりになって一瞬倒れそうになる。とっさに右手を手前のイスに着いた彼女のお尻の肉が、プルンと震えた。

「ああ、ごめんごめん。両手はイスに着いていいですよ」

慌ててお尻の割れ目を開きなおそうとした恵梨奈ちゃんに父が言った。彼女は少し大きく息を吐くと、イスに両手を着く。それから、左手で髪の毛をかきあげた。彼女の顔は頬も耳も真っ赤で、いつの間にか汗をかいて幾筋かの髪の毛が頬に張り付いていた。

「そこ、開いて」

父の言葉が何を意味しているのか、咄嗟にはわからなかった。目を丸くして父を見ると、恵梨奈ちゃんの白いお尻を指している。今まで彼女がその手で開いていた部分を僕に開けというのだ。学年が近い子の診察にすら僕を立ち合わせることはなかったのに、一体どうしたんだろう。けれど、恵梨奈ちゃんのお尻に触れられることにドキドキして、そんなことはすぐにどうでもよくなった。

後ろから恵梨奈ちゃんのお尻に触れた僕は、その柔らかさにびっくりした。自分のお尻なんかとは比べ物にならない。これが女の子のお尻なんだと妙に納得してしまった。

ぎこちない手つきでお尻を開こうとする。けれど、どうも上手くいかなかった。真後ろから両手で開こうとすると、どうしても父が邪魔なのだ。とはいえ、父をどかすわけにはいかない。

「そこに立って、横から開いて」

見かねたように父が言った。クラスメートのお尻を目の前にして右往左往していると思われた気がして、僕は少しムッとした。けれど、すぐに気を取り直して恵梨奈ちゃんの横に立ち、彼女の背中に覆い被さるように両手を伸ばす。指を割れ目に差し込むようにして手の平全体でお尻の肉を掴むと、思い切り左右に開いた。

「・・・ッ!」

恵梨奈ちゃんが、息を詰まらせたような声にならない声を漏らした。お尻の割れ目の奥は見えないけど、丸くて柔らかいお尻の膨らみが手の平全体に感じられる。そして、その狭間の奥まで僕の手指が入り込んでいる。指先に感じる彼女の狭間の底は、汗で少し湿っていた。

「念のため、便も検査しておこうね」

父はそう言って、5mmくらいの太さのガラス棒を手に取った。僕は、少しでも奥まで手を差し込もうと、尺取虫のように指を動かした。こうなったら、お尻の穴も触ってやろうと思ったからだ。

「じっとして」

恵梨奈ちゃんに言ったのかと思ったけど、父は僕の方を見ていた。けれど、その顔は少しにやけているような気がした。慌てて手を止めた僕は、少しやりすぎたかなと反省した。父の気まぐれなのかどうかは解らないが、出すぎた真似をして千載一遇のチャンスを逃す手はない。

父の視線が一点に集中し、その手にあるガラス棒がズイッと前進した。同時に恵梨奈ちゃんの身体がビクリと反応する。恵梨奈ちゃんの背中に覆い被さるようにしている僕には、父の手の動きに合わせて彼女の身体が強張るのが手に取るようにわかった。

(長いな・・・)

恵梨奈ちゃんの反応をダイレクトに感じながらお尻の感触を楽しんでいた僕は、採便にしてはやけに時間が掛かっていることに気が付いた。採便なんてガラス棒を突っ込んで抜くだけ、その気になれば一瞬のはずだ。訝しげに父の方を見た僕は、どきりとした。

父の顔は、明らかににやけていた。それは、どう考えても医者の表情ではなかった。誰にも見せたことがないであろう真っ白なお尻を医者とその助手に曝し、頬を真っ赤に染めてじっと耐えている恵梨奈ちゃん。父の表情からは、そんな彼女を思いやる気持ちは微塵も感じ取れなかった。と、恵梨奈ちゃんの身体から、ふっと力が抜けた。

「はい、採便終わり」

父が採便の終わりを告げる。その声が妙に白々しくて、「医者とはいえ、父もやっぱり男なんだな」と、今思えば中学生らしからぬ事を僕は考えてしまった。