検査官1
相川は、ブラジャーの肩紐に指を引っ掛けた。まともに前を見ることができずに俯いている由紀の身体が、ぴくりと動いた。少し肩紐を引っ張ると、裏側をなぞるように徐々に指を下に移動させる。相川の指が由紀の肩口から鎖骨をなぞり、膨らみ始めの傾斜を捉えた。
田原の前で大きく出てみたものの、いざクラスメートの胸に触れるとなると緊張してしまう。さっきのような失敗をしないように深呼吸をする。とはいえ、由紀に気づかれないように気を遣うことは忘れない。こういう事は、常に威圧する側に立っていないと上手くいかないものだと相川は知っていた。いや、田原の態度から学んでいたというのが正確かもしれない。
(見てろよ・・・俺だってやればできるんだ)
緊張している自分に言い聞かせるように、相川は心の中で何度もそう呟いた。
俯いたままの由紀を見下すように、意識して鼻で笑う。相川は手の平全体で由紀の左胸を撫でた。さっきは緊張して気づかなかったが、ブラジャーの生地は思ったよりも柔らかかった。由紀の乳房の柔らかさを損なうことなく、ダイレクトに相川の手にその感触が伝わってくる。揉むというよりも、パン生地を捏ねるように手の平全体で押し延ばすと、由紀の柔らかな膨らみがそれに合わせて変形した。
(柔らけぇ・・・こんなに・・・)
相川の手から逃れるように由紀が拘束された身体をよじる。田原が手に力を込めて由紀の動きを封じようとしたその時、相川の左手が由紀の右肩を掴んだ。
右肩を力強く掴まれて顔を上げた由紀の視線が相川を捉える。その表情は普段の相川とは別人のようだった。口許には薄っすらと笑いを浮かべ、何よりその視線は、とてもクラスメートに対するものとは思えないほど卑猥な色を含んでいた。相川と視線が合うことを恐れて再び俯く。視線を落とした由紀の目に、ブラジャーの上から胸を撫で回す相川の手が映った。
ブラのカップごと由紀の膨らみを持ち上げると、重力から解放された肩紐が緩み、カップの縁と乳房の間に隙間が空いた。由紀が、何とか隙間を埋めようと肩を動かし上体をくねらせる。
「ほら、じっとしてなきゃ」
耳元で田原が囁く。由紀は、あまりに近くで聞こえた声にどきりとして、横目で声のした方を見る。田原が浮いたカップの隙間を覗き込んでいた。ハッとして上体を前に曲げようとしたが、田原と相川の手がそれを封じる。2人の男に肩と腕を掴まれ、華奢な少女はどうすることもできない。
「ワンポイントは無さそうだ・・・」
上半身と首を器用に曲げて、持ち上げた胸を下から覗いていた相川が言った。色も問題なしと呟きながら、相川はその手を由紀の膨らみに這わせる。支えを失った2つの膨らみにかかる重力で、肩紐がピンと張った。
「けど、これは何かな?」
「・・・ッ」
成長期にある少女の乳房。その発達を妨げないよう、由紀が着けているブラジャーの生地は柔らかく、滑らかだ。その生地は、少しでも辛い現実から逃れようと目を閉じている由紀に、這い回る指の感触を正確に伝える。相川の指は、由紀の柔らかな2つの膨らみのうち、左側の頂点にある突起の回りで測ったように円を描いていた。
「ねぇ、これ何?」
円を描いていた指が左右に素早く動いて、薄布の上から突起を弾いた。
「やっ!」
身をよじろうとした由紀だったが、後ろから身体を密着させる田原に動きを封じられた。突起を弾いていた指の動きが止まったと思った瞬間、2本の指が突起を挟み込んだ。
「や、じゃないでしょ?これ何って訊いてるんだけどな」
相川に先刻までの面影はない。まるで田原が喋っているかのような口振りでそう言うと、小さな突起物を親指と人差し指でクリクリと転がした。度重なる緊張と刺激で普段よりも硬く尖ったそれを指で転がされ、痛みとも痺れともつかない感覚が由紀を襲う。
弱々しく首を振る由紀をよそに、今度は突起を押し込むように人差し指を突き立てる。柔らかな生地が、突き立てられた指を中心に放射状のシワを造る。本来、周辺から頂点に向かって御椀型の膨らみを造るべき柔肉が不自然に変形し、少しはみ出した。
「外からは見えないワンポイントなんじゃないの?何も言わないなら、ブラジャーを外して確かめようか」
そう言って相川は、もう片方の手でカップの縁を捲ろうとした。
「ま、待って!」
相川がピタリと動きを止める。
「待ってください、だろ?」
田原が、耳元で囁くように言った。
「ま、待ってください・・・」
「何?これワンポイントじゃないの?」
突き立てた指を左右にグイグイと回す。
「あっ・・・!ち、違います。それは・・・その・・・ち、乳首・・・です」
「乳首?本当に?」
「ほ、本当です」
上ずった声でそう答えた由紀の、もう一方の膨らみに相川の手が伸び、その頂点が2本の指に捕らえられた。
「こっちも?」
「・・・は、はい」
恥ずかしさからか、少し間を空けてから由紀が答えた。自ら恥ずかしい突起物の位置がそこであることを認めるのはためらわれたが、ブラジャーを脱がされるよりは───。時間は短かったが、相川に尋ねられてから返事をするまでの間に由紀の心は何度も迷い、揺れていた。
「と、言ってますけど、信用できます?」
肩を震わせて俯く由紀を一瞥すると、相川は後ろを振り返って言った。由紀の下着検査に参加できないこともあって、どこか観客のような意識でいた長嶺と中村は、突然の呼びかけに驚いた表情を見せたが、すぐに調子を取り戻してして言った。
「信用できないな。今までも時間掛けたり誤魔化してばかりだったからなぁ」
「俺もそう思う。ちゃんと確かめた方がいい」
相川はニヤリとすると、くるりと由紀の方に向き直った。
「信用できないってさ。仕方ないね」
ブラジャーのカップ部分、その下の縁に相川の指が掛かる。少し前に引っ張ってから、相川はその手を徐々に上に持ち上げ始めた。
「ほら、ちゃんと先輩達を納得させる答えを言わないと・・・」
「やめて!」
由紀は思わず叫んだ。顎を引き、腰を曲げて相川の手から逃れようとするが、田原がそれを許さない。
「やめてじゃなくてさぁ、ちゃんと答えなきゃ・・・ほーら、見えちゃうよ」
相川が突付き、摘みあげ、転がしたのは、間違いなく由紀の乳首である。いくら下着の上からとはいえ、相川とてそれくらいはわかっている。だが、今それは重要なことではない。いかに理由を付けてブラジャーを脱がせるかが問題なのだ。
自由を奪われた身体がもぞもぞと動く。由紀は何とか強制脱衣を逃れようともがくが、既にブラジャーは半分ほど捲れ上がり、丸い膨らみの下半分がその姿を現そうとしていた。
先輩達を納得させる答えと言われても、相川に突付かれ、摘まれ、転がされたのは乳首以外の何者でもない。他に答えようが無いのだ。不良たちに合わせてそれがワンポイントだと答えたとしても、今度はそれを確認すると言われてしまうだろう。何か、何かいい言葉はないかと懸命に考えるが、その間にもブラジャーは容赦なく捲り上げられてゆく。
「あっ・・・!」
まるで胸が露になるのを拒むかのようにカップの縁に引っ掛かっていたピンク色の突起が、ついに外れた。2つの丸い物体は、プルン、と音がしたかと思えるほど肉感的に揺れ、その柔らかさと若さゆえの弾力を見せつけた。夢見る桜色のつぼみが緊張からか小さく尖り、もともと小さな乳輪がさらに小さくなっている。ヒュウ、と田原が口笛を鳴らした。
「お~っと、柔らかそうな胸じゃん」
「どれどれ、近くで見せてよ」
長嶺と中村が近寄ってきた。相川が陰になって見辛いというのもあるが、近くで見たい、あわよくば触りたいというのが本音だった。
(泣き出すかと思ったが・・・意外だな)
近づいてくる2人を視界に捉えながら、田原はそんなことを考えていた。中2といえば多感な年頃だ。人前で胸を曝すなどなかなか耐えられることではないだろう。下着を脱がせたら泣き出すかと思っていた由紀が意外にも静かなことに田原は驚いていた。大人しそうな見た目や性格に似合わず、芯は強いのかもしれない。
「相川、検査を続けろよ」
近づいてくる2人を制するように田原は言った。由紀が泣かないなら好都合だ。泣いたら泣いたで楽しむこともできるが、何かあったとバレる危険もあるし、ぐずぐずしたり動かなくなったりするので面倒だ。
「ブラジャーの生地は特に問題なし・・・」
初めて見る同級生の胸に得も言われぬ感慨を憶えていた相川だったが、田原の声で我に返った。口では検査を続けている素振りだが、視線はその下にある2つの膨らみを凝視している。むしゃぶりつきたくなる衝動を抑え、田原に言った。
「田原さん、これ外してもらえませんか。詳しく調べないといけないので」
田原は、何故だか相川の言葉がおかしくて笑いそうになった。既に表も裏も手触りも十分に調べたはず。今更詳しく調べる必要などない。何より由紀が校則違反を犯すとは思えない。だが、そんなことはどうでもいいと田原もわかっていた。ただ、田原の嗜好を知り尽くしたかのように、由紀を辱めようとする子分のやり方が嬉しかったのかもしれない。
「由紀ちゃん、これ解くけど、暴れたりしたら・・・わかってるよね?」
田原は、由紀の腕を固定しているタンクトップをクイクイと引っ張りながら、耳元で囁いた。ブラジャーを外すためには、両腕を自由にしてやる必要がある。
「・・・わかってるよね?」
語気を強め、俯いたまま反応を示さない由紀の腕を強く握る。
「わ、わかりました・・・」
由紀が答えたことに満足し、田原はタンクトップによる拘束を解いた。由紀が僅かに吐息を漏らす。本当は胸を隠したいし、長時間の拘束で痛みが残る両腕を擦りたい。だが、この状況で男達に抗う勇気は、由紀にはなかった。
プチン、と音がしたと思った途端、田原に腕を掴まれ、声を上げる間も無く強引に左右の肩紐を抜かれた。突然の出来事にバランスを崩し、2つの膨らみが揺れる。相川の目が怪しく輝いた。
由紀から剥ぎ取ったブラジャーを長嶺に向かって投げる。自分で脱がせるのも一興だが、すでに胸が露になっている以上、さほど楽しめるとは思えない。
「問題ないか詳しく調べるんだ」
田原からブラジャーを投げてよこされた長嶺は、由紀の視線が脱がされた下着の行方を追っているのに気づいた。真面目な顔で少し調べるような素振りを見せた後、まだ温もりが残るそれに鼻を押し付けて、少女の香りを胸一杯に吸い込む。由紀が顔を伏せたのを上目遣いで確認すると、長嶺の顔にいやらしい笑みが浮かんだ。